第23章 いつかの約束
夕食を食べて、風呂にも入って。
ベッドの下に布団を敷いて。
翔くんが着ているパジャマは、
全体が紺色で、上衣の右下には桜のプリント。
前後所々に花びらが描かれている。
左胸のポケットには丸い黄色のボタン。
夜桜をイメージしたようなデザインが
翔くんにとても似合っていた。
まるで翔くんのために
作られたかのようで、
その姿に吸い込まれそうだ。
母ちゃん、いつの間に用意してたんだか…。
「そんなに見られたら恥ずかしいよ。」
「よく似合ってるなって思って。」
「あ、ありがとう。智くんも、紺色のスエット似合ってるよ。」
「洒落っ気ねぇけどな。」
お互いふふって笑いあった。
「おやすみ、翔くん。」
「おやすみ、智くん。」
…あのご先祖様の二人は
こんな風に穏やかな時間は
過ごせていたのだろうか。
ウトウトし始め
眠りに意識がもっていかれると
“さとしさま…”
あの夢の声がした。