第23章 いつかの約束
「お久しぶりです。」
「いらっしゃい、翔くん!」
なんだよ、母ちゃん。その明るい声は。
いつもよりお洒落して化粧までしてさ。
翔くんは何度かうちに来たことがある。
うちの母ちゃんは、翔くんが大好きなんだ。
綺麗で賢くて、礼儀正しくて。
カッコいいのに少し不器用なところが
可愛いいって。
うん、うん。それはよくわかる。
だけどさ…
“お嫁さんに欲しいわ~”
なんてさ。
翔くんが男だってこと忘れてないよね。
俺と翔くんは男同士なんだから…
そう思う度に、胸がチクッと痛むんだ。
「翔くん、今日うちに泊まっていっていいわよ。さっきね、電話でお母様とそう話してたのよ。明日お休みだしね。後で着替え用意しておくから、ゆっくりしていって。」
まさかの展開に、俺と翔くんは目を合わせた。
「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます。よろしくお願いします。」
翔くんは嬉しそうに微笑んだ。
あっ…
その表情にまたドキッとした。