第22章 たまにはね…
「ところでさ、俺がナンパ魔ってなに?」
ハッ、とした表情で固まる智くん。
なにその、面白い顔は。
「さっきあなたが言ってたでしょ。」
「あ…うん。」
「ん?」
「仕事で行く先々でさ、男女関係なくさ、翔くん人気があってさ。爽やか…とか、優しい…とか。だからさ、愛想振り撒いてるのかな…って。」
「愛想なんか振り撒いてないよ。」
「うん…わかってる。」
「はは。わかってるけど言っちゃうんだ。」
「うん。」
「しかもナンパ魔って?」
「そう。つい…。」
それ、ヤキモチでしょ…
あなたのそんなところも
可愛いくて好きなんだ。
「悪かった。ごめん。」
「ううん。智くんもイヤだったよね。担当は自分なのにさ、俺のこと気にされるなんて。」
智くんは俯いている。
「でもさ、その仕事が順調に進んでるのはさ、智くんだからなんだよ。」
「えっ…?」
顔をあげてくれた…
それだけで胸がきゅっとなる。
「俺が担当だったら、そうはいかない。」
「しょぉくん、絵心ないもんね。」
「おっ、言ったな。どうせ…。」
「悪い、悪かった、今度こそ悪かった。」
あなたが笑っている。
それだけで俺は嬉しいんだ。
でも
ナンパ魔とか言われたからね?
ちょっとお仕置きしてみたくなった。
「智くん。」
「ん?」
「悪いと思ってるならさ…。」
「う、うん…。」
あっ、警戒してるかも…
だけど、ダメ元で言うよ。
「悪いって思ってるならさ、今日は…智くんから仕掛けて欲しいな。」
ゴクッ…。
智くんの喉が鳴ったのが聞こえた。