第3章 想い
(Sサイド)
「泣かないで…。」
俺の目尻を拭う智くんの指が濡れていて、そこで初めて自分が涙していたことに気づいた。
「ごめんね、智くん…。こんな風にしたかったわけじゃないんだ。」
「うん、わかってるよ、わかってる。オイラも…ごめんね。」
俺たちは抱き合って、しばらく背中をさすりあった。
智くんの甘い匂いと暖かい手の温もりを感じたら、何だか今まで以上に愛しくなって。
智くんが欲しくなった。
心も体も。
「智くん…いい…?」
「うん。待ってたよ、しょーくん。」
智くんをベッドに押し倒し、その上に跨がった。
「抱いて。しょーくん…。」
最初は啄むようなキスをし、徐々に舌を絡めて口内を味わうようなキスをする。
息が苦しくなってきた智くんから声が漏れてきて、俺の中心に熱がこもった。
キスをしながら、シャツのボタンを外していく。
智くんの潤んだ瞳が俺を見つめている。
今までは泣きそうに見えていたその瞳が、俺のことを誘い求めているように見えてきて。
「待たせてごめんね。」
俺がそう言うと、智くんはふにゃんと微笑んでくれた。
俺は、露になった智くんの首筋と鎖骨、そして胸の突起に唇を這わせた。