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キミとボク【気象系BL】

第21章 君がいいんだ



「送っていくよ。」

翔くんがそう言ってくれた。

でもあと少しだけ一緒にいたいって

わがまま言っちゃったの。

翔くんは優しく微笑みながら

頷いてくれた。



近くにあったファミレスに入って

サラダとコーヒーを注文して。

「今日は本当にありがとう。」

「うん。サトコも楽しかった。」

サトコ、ちゃんと笑えてるかな。

脱いだコートを意味なくたたみ直したりなんかして。

「似合うね。白いワンピースも薄紫色のカーディガンもロングヘアも。」

「えっ…?あ、これね。1年前の新年会の余興で使ったものなの。」

「へぇ。そうなんだ。」

「うん。また使う日がくるとは思わなかったけど。」

コーヒーカップをふと見た。

口をつけたはずの所に、口紅はほとんどついていない。

これが現実なのよね。

そう思ったらね、気持ちもサトコから智に少しずつ戻ってきたの。

脛毛剃ったし、ストッキング履いてるし…足がムズムズ痒くなってきちゃった。

翔くんね、サトコがおトイレに行きたいんだって勘違いしちゃって…。

一応ね、口紅を塗り直しに行ったの。



席に着くとね、翔くんがサトコを見つめるの。

「新年会の時さ、口説かれなかった?」

「ないない、そんなの。」

「本当に?」

「うん。だってみんなお酒入ってたし“気色悪っ”って散々な言われようだったんだから。」

「こんなに可愛い子を。ひどいやつらだな。」

「ふふっ。」

サトコね、涙が出そうになったから…

笑って誤魔化しちゃった。

翔くんもね、その後は何も言わなくて…。



さっきね、サトコが引き留めちゃったんだもん。

「電車がなくなる前に帰ろう、ねっ。」

サトコから切り出したの。



電車の中ではね、運良く2人掛けの席に座れたの。

最初はね、普通に座ってたのよ。

でもね、あちこちから感じるのよね、

翔くんを見てトロンとする…女子たちの視線をね。

30オーバーだけど、アイドル的なビジュアルの翔くん。

わかるのよ、見ていたいのは…でも今はごめんね。

コテン…って翔くんの肩に頭を凭れちゃった。

やってみたかったの、こういうの。

翔くんはクスッと笑って

サトコの頭に翔くんの頭を傾けてきて

頭同士が触れちゃって

もうね、キャーッ!って心の中で叫んじゃった。






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