第21章 君がいいんだ
「ごめんね、翔くん。フォローしてもらっちゃって。」
本当にそう。
サトコのほうが全然上手くできなくて、翔くんにいっぱい助けてもらった。
「もう、何言ってるんだよ。全部サトコちゃんのおかげなんだから。」
「サトコの…?」
「こんなに綺麗で可愛い子が恋人だったらさ、自信を持たない彼氏なんていないよ。」
「翔くん…。」
翔くんの右手がスッと伸びてきて、
サトコの頭を優しく撫でてくれてる。
キモチいいなぁ。
「もちろん見た目もだけどさ。その…中身もね、すごく良かったから…。」
「そんなこと…。」
恥ずかしくなって下を向いたら…
恋人繋ぎしている手が目に入ったの。
ドクン…
ダメだわ。
サトコ、めまいが…
ギュウ~ッ!
脱力しかけた身体を、翔くんがしっかり受け止めてくれた。
温かい…もっと包まれていたい…
翔くんの腕の中にすっぽり埋まりながら、そんなことを思った。
今だけ…今だけならいいよね。
サトコもね
翔くんの腰に腕を回して
ギュウッて抱きついちゃった。
はぁ…どうしよう。
夢みたい。
「あのさ。」
耳元で翔くんの声がした。
「なぁに?」
「このままデートしようか。」
「デート…?」
「うん。ダメかな…。」
「ダメじゃない。します、します、します、デート。デートしたい。」
「あはは。可愛いね。」
な、なんだろう。
こんなにデレッとした翔くんの顔なんて見たことがない…。
「ん?どうしたの?」
「あの…翔くんの顔、デレッとしてるから…。」
「それはさ、相手がキミだからだよ。」
今まで知らなかった。
翔くんって、こんなに甘い一面があるんだ…。