第20章 kagero
俺たちの関係ってなんだろう…。
友達?…ではない。
仲間?…一緒に音楽は聴いてるけど、ちょっと違うな。
知り合い?…あえてつこじつけるとそう、なのかな。
仲良し?…きっと周りには、そう見えてるかもしれない。
初めて会った時に感じた“気になる人”が、一番しっくりくるのかもしれないな。
じゃあ、何で気になる人なのか…。
もう沢山感じてるじゃないか。
その度に俺の中で熱が上がって、胸がキュッとなって心臓の鼓動が早くなって。
気づいてほしいような、気づいてほしくないような…
いまこうしている瞬間が俺にとって大切になっていて…
この人の傍にいることができるなら、このままでいいんだ。
俺たちは
お互い名前は知ってるのに
呼びあったことはない
連絡先も知らない
多くを語ったこともない
昼休みのこの時間だけ一緒にいる
そんな不思議な関係なんだ。
…熱を帯びてモヤモヤゆらゆらと揺らめく陽炎のように、そこにありそうで掴めないもの…
なのに
「翔くん。」
ほら。
あなたの不意打ちにまたやられるんだ。