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キミとボク【気象系BL】

第20章 kagero


この人…大野智先輩と初めてあったのは1ヶ月前の保健室。

午前の途中から頭痛がして、昼休みに保健室に向かった。

保健の先生はいなかったけど、保健委員の当番でいたのが、この大野先輩だった。

俺より少し背が低くて、中性的な顔をしている。

纏う雰囲気のせいか、なぜか気になる人だった。

左胸に青色のプレート…2年生か。

名前は…大野智さん…。

渡された体温計で熱を測ったら37.8℃で、ベッドで休ませてもらうことにした。

「少し顔が赤いね。」

そう言いながら濡らしたタオルを持ってきてくれた。

冷えピタじゃなくてタオル?って思ったけど…

不意におでこに当てられた大野先輩の手に

ドキッとした。

おでこに触れた手にも

ひんやりとした手にも

距離が近い綺麗な顔にも

同性に抱いたこの感情にも

…本当にドキッとした。



火照った顔とうるさい心臓の音を誤魔化したくなった。

大野先輩から冷たいタオルを受け取り、おでこだけでなく目も隠れるようにして当てた。

冷えピタじゃなくてよかったかも…

本当にそう思った。



カーテンの向こうにいる大野先輩のことが気になって、眠ることができない。

なんだろうな…

さっきより熱、上がったかもな…

単に体温だけじゃなくて…

いつの間にか頭痛は治まったけど。



キーンコーン…カーンコーン…

昼休みの終了を知らせるチャイムが鳴った。

保健の先生も戻って来たようで、何やら会話してるのが聞こえた。

暫くすると

「どう?大丈夫?」

あの澄んだ声がした。

俺はタオルを取り、お礼を言った。

「頭痛は治まりました。ありがとうございました。」

「それは良かった。」

ニコッと微笑んだ顔に、またドキッとした。

「あと、これ…保健室の入り口に落ちてたみたいだけどキミのかなぁ。」

手にしているのは赤いイヤホン。

「はい、俺のです。ありがとうございます。」

「良かったね。」

そう言いながらイヤホンを渡してくれた時の長い指がとても綺麗だった。

発する熱の揺らめき…。

俺はタオルを裏返した。

再び冷たい面をおでこに当てて、ゆっくり目を閉じた。






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