第18章 サクラカオル
(Oサイド)
翔くんは
俺…サトコの気持ちを
大切にしてくれてた。
いつまでも
待っててくれてた。
もう離したくなくて
離れたくなくて
ぎゅっと抱きついた。
翔くんも
ぎゅっと抱きしめてくれた。
3年かかってごめんね。
桜並木を
手を繋いで歩いた。
一歩一歩大切に歩いた。
ビュウ~ッと風が吹いて
桜の花びらが
サトコたちを包んだ。
「髪についてるよ。」
「ふふっ。翔くんも。」
翔くんの髪についた花びらを
とってあげようと手を伸ばした。
サトコより少し背の高い翔くんが
とりやすいよう屈んでくれた。
目線が同じになって
ドキドキした。
あの頃は
サトコだけど本当は男の俺となんて
申し訳なくてできなかったけど…
もういいよね、
翔くん。
サトコは翔くんの両頬に手をあてた。
翔くんはニコッと微笑んでいる。
顔を近づけて
そのぽってりした唇に
ちゅっ。
とキスをした。
ハートの形をした
桜の花びらが
舞い踊り
優しい香りとともに
サトコたち二人を
祝福してくれてるようだった。