第18章 サクラカオル
(Sサイド)
サトコちゃんから
連絡がきた
会いたいって。
嬉しかった
すごくすごく嬉しかった。
待ち合わせ場所は
あの桜並木。
俺は5分前に到着した。
あなたはまだいない。
4分…3分…2分…1分…
「だ~れだ。」
突然目の前が真っ暗になった。
そうきたか…
でも俺は迷わないよ。
「サトコちゃんでしょ。」
目隠しをしている手が
震えている。
その手をそっと握り、
後ろを振り向いた。
そこには
初めて会ったあの日と同じ
長い髪にワンピース姿の
あなたがいた。
「だってさ、サトコちゃんは…サトコちゃんだから。」
「うん…。」
「俺はね、どんなあなたでも好きだよ。」
「えっ…。」
「だからさ、大学で見たあなたのことも知りたいな。」
「翔くん…。」
「3年かかったけど…待っててよかった。」
「……。」
「ごめんね、あなたから連絡がくるのを待ってたんだ。いつか絶対連絡をくれるって信じてた。」
目の前の愛しい人が
目を潤ませながらも
ちゃんと俺を
見てくれている。
「嬉しいよ。またあなたに逢えたから。」
「翔くん…。」
あなたは少し躊躇いがちに
俺に抱きついた。
俺の胸に
あなたからきてくれたのが
本当に嬉しかった。