第104章 シュワシュワ
「自惚れていいですよって言ったら?」
「んふふ。俺は嬉しいけど」
「本当に?」
「うん。めっちゃ嬉しい」
「じゃあ…自惚れてください」
「ふふっ。ありがとう。翔くんも…ね?」
俺の言葉にニッコリして
「はい」
ってさ。
ものすごく、くすぐったい気持ちになった。
周囲を見渡してみる。
やっぱり誰もいない。
二人だけの空間。
櫻井と繋いでいた手を解いて。
えっ?て顔を上げる櫻井の後頭部に手をまわした。
この状況だから、長い言葉はいらないだろう。
…というか、これから言うその一言に、俺の心拍数はかなりあがっている。
「いい…?」
「…聞かないでください…」
それを肯定と受け止めて。
顔を近づけ、ちゅっ。とキスをした。
5秒くらい、だったかもしれないけど。
舌を絡ませるとか、濃厚なやつではなかったけど。
「めっちゃ照れるな」
「はい」
お互いに、目を合わせるのが恥ずかしくて。
自然とショウに視線がいっていた。