第103章 LOVE LOVE LOVE
(Sサイド)
放課後になると、待ってましたとばかりに智くんも僕も女子から声がかかった。
その人たちの手には、可愛らしくラッピングされたチョコレート。
それが被ってる人なんて1人もいなくて。
渡したい相手のことを思い浮かべながら、チョコレートやラッピング用品を選んだんだろうなっていうのが伝わってきた。
その点でいうと、僕は店頭で買ったままの状態で智くんに渡したけど…
ショーケースの中のチョコレートは幾つも見て回ったし。
どんなラッピングなのかも重要視したし。
智くんのイメージにピッタリな青色の包装紙、それを彩る赤色のリボンも素敵だなって思って選んだし。
添えたメッセージカードも、智くんが僕の気持ちを汲み取ってくれた。
そういえば、智くんは僕のイメージが赤って言ってたな。
スクールバックに着けたキーホルダーの“翔”の部分を指でなぞる。
お互いの気持ちを込めたものの中に、赤が共通してたのが嬉しい。
僕はまだ恥ずかしくて智くんに“好き”って言えてないけど…告白してくれた人たちって、すごいなって思う。
“伝えられてスッキリした”“フラれちゃったけど、ちゃんと聞いてくれてありがとう”
そんな風に言ってくれてさ。
気持ちにこたえてあげることも、チョコレートを受け取ることもできなかったけど…
ありがとう。
なんだか勇気をもらった気がした。