第103章 LOVE LOVE LOVE
(Sサイド)
「しょーくん、大丈夫だよ」
智くんが穏やかな声で話しながら、リボンに挟んでいたメッセージカードを手に取った。
「これ、しょーくんの気持ちでしょ。」
僕はコクッと頷いた。
智くんがにっこりとする。
それを見たら、何だかホッとして。
目頭がじわっとしてきた。
「もう、泣くなよ~」
智くんが頭をポンポンしてくれる。
そんなことされたらさ、もっと泣けてくるじゃん。
「あはは。知らなかったな、しょーくんってさ、意外と泣き虫なんだな」
「…泣き虫じゃないし」
僕はボソッと呟いた。
「ははっ。やっと声が聞けた」
その言葉を聞いて…
あぁ、そうか。
僕がずっと黙ったままでいたから、智くんもホッとしたんだろうなって思った。
時計を見ると午後1時25分。
「智くんっ。お弁当食べないとっ」
「やべっ。もうこんな時間じゃん」
2人とも急いでお弁当を開き、食べ始めた。
目の前には智くんに渡したチョコレートとメッセージカードがある。
「智くん、恥ずかしいからしまってよ」
「いいじゃん。ほれ、イチゴやるから」
智くんがデザートで持ってきていたイチゴを1つ、フォークにさして僕の口に近づけた。
「イチゴだぁ」
僕は大好きなイチゴをパクっとくわえた。
…あ。
今、さりげなく“あーん”“パクっ”状態だったよね。
「んふふ。しょーくん幸せそう」
「イチギョ、しゅちだきゃら」
「あはは。言えてないし」
「あみゃきゅて、おいひーほ」
「甘いかぁ。良かった」
どうしよう。
急接近して、嬉しいけど…照れる。
イチゴのことは好きって言えるのに。
智くんには…
やっぱり照れて言えない。
こんなに好きなのにね。