第7章 最終試験と私の運命
ゴンはうつ伏せになって、ピクリともしなかった。
「ゴン…ゴン…」
私は必死でゴンに呼びかけた。
「アルミさん。大丈夫です。ゴンくんは気絶してるだけですから…」
サトツさんが私を宥めてくれ、やっと落ちきを取り戻した。
「……酷い腫れ…それに切り傷。骨だって折れてる……」
ゴンの傷は酷いものだった。私はゴンの折れていない手をぎゅっと握った。……こんなに小さな手なのに……。
誰かが何か言っていたが、会話は耳に入ってこなかった。
「さぁ、ゴン君を医務室へ連れていきましょう」
サトツさんが気を使って、私にそう言ってくれた。すると、ハンゾーと目が合った。
「……すみません。少し待ってください」
私はゴンをサトツさんに預け、立ち上がり、ハンゾーの元へ向かった。
「……え……あ…アルミ……」
ハンゾーが右頬を手で触り始め、何やらソワソワしているが、構わず私は思いっきり拳を握りしめ、ハンゾーの顔にそれを叩き込んだ。
「ぶっ!?」
ハンゾーは床に倒れ込む。鼻からは血が出てる。周りは唖然となった。
「この馬鹿ハンゾー!!!!何もああまで痛めつけることないでしょ!!ゴンまだ11歳なんだよ? 怪我が残ったらどうするつもり!!」
「え…あ…いや、あれはあいつが意地を張るからしょうがなく……」
「ゴンは子供なんだから、意地を張るのは当然でしょ!!それを上手く扱っていくのが、年上であるハンゾーの役目でしょうが!!!!」
「は、はい!!!!」
「起きたら、ちゃんと謝る!!あと、壁と床を壊したんだからネテロさんにも!!いいね!!」
「はい!!!!」
ふんっと鼻を鳴らし私はサトツさんの元に行こうとした。しかし、ハンゾーによって呼び止められた。
「………あ、あのよ」
「……なに?」
じろりと見ると、ハンゾーは
「さ、3回戦目では、オレもゴンみたいに……その……応援してくんねーか? なんて……」
と、まるで先ほどの行動を反省している様子もなく、そんなことを言った。
ぶちっ
私の中の何かが切れた。
「………………するわけないじゃん」
私はそう言い捨てると、今度は振り返らないつもりでサトツさんの元に急いだ。しかし、誰も何も言わず、会場内は静かだった。