第7章 最終試験と私の運命
「……はぁ…」
私は大きくため息をついた。駄目だ。迷いが生まれてきた。床に座り込んだ。
駄目だ…押し殺せ。わたしじゃみんなと一緒にいられない。私は本当はここにいない存在なのだから…。だから……この思い出だけでいいって…なって……。みんなの顔と、家族の顔が浮かんでは消えていった。……………駄目だ……………泣きそう………。私はそれだけはしないように唇を噛んだ。キルにだけは気づかれてはいけない…。キルだけは…。あの子は優しい子だから。こんな私を外に連れ出してくれたんだから……だから…………迷惑をかけるべきじゃない……キルは……大事な弟……絶対に邪魔はしない。あの子の幸せだけが……
「あ!!やっと見つけたぜ!!」
そんな中飄々とした声が聞こえ、私は顔を上げた。
「全く!!探したぜ!!」
……ハンゾーだった。ハンゾーは相変わらずの饒舌で話し始めた。
「最後にお前に一言言っとこうと思ってな!! ほら、俺ら忍者は馴れ合わないのが暗黙のルールだろ? だが、お前は俺の……その……なんてーか…ライバル?そう!!ライバルだからよ!! 仕方なしに探してやったんだよ!! 調子はどうだ? 俺?俺は絶好調だ!! なんて言ったって、今日で俺がハンターになれんだからよ!!そんで…………」
………あ…涙が引っ込んだ。ハンゾーのマシンガントークのおかげでなんとか乗り切った。
私は目の前で得意げに話すハンゾーを見て、なんだかトリックタワーのことを思い出した。確か、二次試験から妙に話すようになって………そう!ハンゾーの民族衣装が気になって、暇そうな彼に話しかけたのだ。
「ってことでな。……ん?なんで笑ってんだ?」
私はいつの間にか声を立てて笑っていた。なんだかおかしかったのだ。
「……ううん。なんでもない。わざわざありがとねハンゾー」
「え?おっ、おう!!」
ハンゾーは光の反射かゆでダコみたいに真っ赤になり、さらに笑ってしまったことは内緒だ。