第7章 最終試験と私の運命
「私……ハンターになりたくて…この試験を受けたわけじゃないんです。ただ……経験してみたかっただけなんです」
「ふむ。…続けて」
「私は、今まで家の敷地から外に出たことはありませんでした。別に不満はありません。母も父も祖父も兄弟達も、みんな好きですから」
でも…と私はさらに言葉を続けた。
「でも、キルが…弟が、外の世界のことをあまりにも楽しそうに話すものだから…。私ちょっと欲が出てしまいまして…」
「欲、とな?」
「はい。少しだけでいいから、外の世界を見てみたい…という欲です。本当は許されないことなんですけど」
私は膝の上の拳を握りしめた。
「でも、決めたんです。思い出を作って、それで終わりにしようって。
だから私…ハンターにはなりません。辞退します。本当に申し訳ありませんでした」
私は頭を下げた。自分勝手な理由でただただ申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「…ふむ。なるほどな。ではおぬし以外の8人の中で一番注目しているのは?」
「え?」
私はネテロさんの言葉に戸惑った。しかし、この人はこういう人だったことを思い出し、そしておそらく私以外の人を判定するために必要なことなのだろうと思い直した。
「は、はい! えっと、99番、403番、404番、405番……それと、44番と301番です」
……残っている受験者の殆どだ。
「……ふむ、では8人の中で一番戦いたくないのは?」
「え……と…。そうですね。先ほどの前半に挙げた4人でしょうか」
「………その理由は?」
「優しい人達ですから。私に武器を向けたりもしませんよ。それをいったら後半の2人は容赦なく私を殺しにかかってくるでしょうから」
そっちの方が楽でいいですと私は言った。すると、ネテロさんは少し考え込んでから
「うむ、ご苦労じゃった。さがってよいぞ」
と言った。私はほっとして部屋をあとにした。せめて、皆が合格するのを見届けてから、立ち去ろう。キルからはあとで怒られそうだけど。