第6章 四次試験の始まり
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俺が姉貴の言葉に口を開こうとした時だった。
「っ!?」
頭から足の先まで、ゾワリとした何かが俺を貫いた。ドクドク波打つ心臓、乾いた空気、ただならぬ雰囲気。俺は途端に戦闘モードに入った。
「キル……?」
姉貴は気づいてない。マズイ何かが近づいてきていること。
バサバサバサッ…
動物もやっとその存在に気づく。俺は飛び去った所を確かめ、姉貴の手を引いた。
「………?」
姉貴は俺の行動に分からないながらも、黙って従ってくれた。
「………………」
俺らは木の上の茂みに隠れた。正直、隠れるところがあって助かった。これが海辺だったら死んでいたかもしれない。
「…………きた」
俺は一層気配を消した。姉貴もだ。