第6章 四次試験の始まり
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「………ぷはー」
食った食った。アル姉は微笑んで、俺に水を手渡した。
「明日だよな? スタート地点に戻ればいいんだろ?」
「そうそう。時間に遅れたら失格だから気をつけないとね」
「興味本位で受けた試験だったけど、中々楽しめたな!!」
この試験も終わりが近づき、俺はそう背伸びした。俺の我儘で家を連れ出し、そして試験を受けることになった訳だが…姉貴はどう思っているんだろうか。突然不安になった。
「そうだね。とても楽しかった!!」
しかし、笑顔の姉貴を見て、それは杞憂だったとわかった。
「ゴンたちとも仲良くなれたことだしね」
「そ、そんなの二の次だって!!」
俺は慌ててそっぽを向いた。なんだか気恥ずかしかったからだ。
「キルってば、照れなくてもいいのに」
くすくすと笑う姉貴。俺は話題を変えようと、必死で頭を働かせた。
「そうだ!! 試験終わったら、どうする?」
「終わったら?」
「そっ!!!! ライセンス貰ったらさ、金なんかなくてもどこでも行きたい放題だぜ!」
あんな所やこんなところを自由気ままに旅をする。俺は期待に心が弾んだ。
「……そうだねー。キルはどうしたいの?」
「俺?」
姉貴は俺に微笑んだ。
「ちなみに。レオリオは医者になりたいから、ハンター試験終わったら勉強して大学に行くんだって。
クラピカはやらなくちゃいけない野望があるからそれを。
ゴンは、ハンターであるお父さんに会いたいって言ってたから、お父さんを探すんじゃないかな? 」
「なっ! なんでその3人が出てくるんだよ!!」
確かに3人といた時はとても心地よかった。しかし、俺は姉貴と一緒に…!!
「レオリオとクラピカは無理かもしれないけど、ゴンは…ゴンなら一緒について行っても喜んでくれるんじゃない?」
俺は言葉に詰まった。何を言っているか分からなかったからだ。その口ぶりは、まるで……俺をゴンに託すような言い方じゃんか!!
「姉貴……姉貴は……」
俺が嫌になったのか?俺とはもう一緒にいてくれないのか?……姉貴は…じゃあ、姉貴がしたいことって何なんだよ…!!