第6章 四次試験の始まり
「………私さ、この歳まで家の敷地を出たことがなくてね」
「……確か弟たちと来たのだったな」
私と一緒の髪色のキルを弟だと察したのだろう。でも、たち??
「私の弟はキルだけだよ?」
「そうなのか?ゴンという少年とも一緒におるからてっきり……」
私はそれを聞いて、なんだか嬉しくなった。
「まぁ、それでもいいや。でね、その弟がある日突然家出するって言い出して……」
私はある程度砕いて、成り行きを伝えた。
「………そうか。それは楽しかったことだろう」
「もちろん!! 普段だったら出会えることのない人たちと出会って、話して……。とても楽しかった。全然知らないことだらけでね。海だって初めて見たし、あんなにしょっぱいなんて初めて知ったの」
私の話を黙って聞いてくれる男の人。私が興奮を伝えると、静かに口を開いた。
「……では、お主は経験を得るためにハンター試験を受けたのだな」
「………経験……か。そうだね。ハンター試験受ける前の私は、世の中のことなんて全然知らなかったし、このハンター試験を受けたことで何かが成長できてたら………嬉しいな!!」
あと一つ。この人に話して気づいたこと。私は思い出を作りに来たのだ。これらの思い出があれば、もう……
『外に出てみたい』
だなんて思いは無くなるだろうから。