第5章 三次試験と奇術師
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「彼女とは運命的な出会いだったんだ♡」
「…………」
今のでイルミに睨まれたのは何回目だろうか? 特にアルミのことで多かった気がする。
「そんなに睨まなくても、何もしてないよ♦️」
手のひらをヒラヒラと上げる。すると、やっと目線を外してくれた。アルミは3番目に到着した男と談話している。
「その傷どうしたの?」
「へぇ♡心配してくれるの?嬉しいなぁ♡」
「別に。ただ珍しいなと思っただけ」
イルミはアルミのことをただ見ている。………アルミに怪我がないのか見ているのだろうか。この男にそんな心があるなんて意外だった。
「ちょっと油断しただけだよ♦️ 昔の知り合いだったらしくて♣心配しなくてもアルミには怪我なしだよ♡」
「ふーん」
「僕より分かってた♦️驚いたよ♣彼女、敵の投げたナイフを一瞬で見極めて取ってさ」
彼女てっきり非戦闘要員だと思ってたからと言った。すると、イルミは別に何も意外そうでもなく
「あいつ意識外からの攻撃には無頓着だけど、意識している攻撃だったら普通に避けるし」
ってか、オレが教えたんだからそれ位はしてもらわないと、とイルミは付け足した。
「それに、才能だけで言ったらキルまでとはいかないけど、父親より上らしいし。じいちゃんが言ってたから本当か分かんないけど」
それを聞いた僕の感想はただ、
「もったいない♡」
だった。あの動きからすれば、1ヵ月間鍛えるだけで、いい殺し屋になるだろうに。