第5章 三次試験と奇術師
彼は自分のことを四刀流のトガリと名乗った。最初に投げた2本は陽動で、実際に彼はナイフを四本持っていたのだ。これにはヒソカも肩に怪我を負ってしまう。しかし、それにしても……
「なんかサーカスの曲芸みたい…」
2本のナイフが4本に増えて、益々そう感じてしまう。
私がボソッと呟いた言葉は、ヒソカにもトガリにも聞こえていたようだ。そこでトガリは初めて私の存在に気づいたようだ。
「なっ!!なんだそのガキは!!」
「妹♡」
ヒソカがトガリに茶化した言葉を投げかける。
「 ヒソカ貴様っ…。ハッ!! なるほど!!ならばそいつから始末してやる!!」
今度はヒソカを通り過ぎて、直接私に降り注ぐ2本のナイフ。
「わー」
2つとも孤の描き方がそれぞれ違い、多分さらに2本のナイフもこれらの死角になるように投げられるのだろう。よく計算された投げ方だ。死ぬほど特訓したと言ったのも頷ける。私はそれらを見て、ゴトーのコインを思い出した。まぁ、彼の場合スピードが重視なのでちょっと違うのだけれど。
「取れた取れた」
私は二つのナイフをクルクルと回した。食事時以外のナイフなんて久々に触ったなぁ。
「な………」
「へぇ♡」
トガリは驚きの表情、ヒソカはよく分からない表情をしたのがわかった。