第5章 三次試験と奇術師
「ねぇ、イルミってどんなお兄ちゃんなの?」
待合室を出てからもその話は続いた。ここまでで試験開始から7時間は経過していた。
「イル兄?そうだね…見たまんまだと思うよ。強くて厳しくて、家族思いのいい兄かな」
「まぁ、確かに家族思いではあるね♦️」
ヒソカはトランプを取り出し、1枚ずつ上に上げては取りを繰り返した。
「小さい頃は訓練をイル兄に教えて貰ってて……大変だったなぁ。あの人、容赦ないから」
「キミのその体力はイルミによって鍛えられたんだね♦️」
「うん。泣き言なんて聞いてくれないのは、ミル兄で知ってたし、ボロボロになりながら付いて行ってた」
ふふっと笑うと、ヒソカは相槌をうち、トランプを今度は違う弄り方をし始める。
「結局、訓練も母様に禁止させられたんだけどね。野蛮だって。
そうなってからは、みんなが口を揃えて、それでよかったって言うんだ。…でも、イル兄と会話するのって訓練の時だけだったんだよね。それからは話すことも、顔を合わせることも無くなっちゃって」
そう。だから私は知らない。最近のイル兄を。
「長期任務に出ちゃってからは、もう見ることもなくなっちゃったし。だから、ヒソカの方が知ってると思う」
「んーどうかな♦️僕と彼はあくまでもビジネスパートナーだからね♡️」
そんな話をしているうちに、次の扉に着いた。
「………何も無いね」
いつもなら書いてある扉にはお題も何もなかった。落ちてきた部屋似合った扉と同じだ。
「じゃあ、行ってみようか♡」
ヒソカが扉に手をかけた。