第5章 三次試験と奇術師
私はヒソカに抱き抱えられていた。どうやら落ちてきたところを受け止めてくれたようだ。私はお礼を言った。
「いきなり落ちてくるから驚いたよ♡」
何やら上機嫌のヒソカ。私は聞いた。
「ヒソカはあの仕掛けにいつ気づいたの?」
「キミが落ちてくる……十分ほど前かな?」
「そっか。ここってどういう所なんだろ?なんか分かった?」
この部屋には私たち二人しかいない殺風景な部屋だ。奥には扉があるだけ。
「さぁ?でも君が来たことで先に進めるみたい♦️」
かちっと音がし、扉が開いていた。
「あ、重かったでしょ。下りるね。ありがとう」
しかし、ヒソカはさらに私を自分の胸に押し付け、そのまま歩きだした。頬には硬い感触がして、歩く度に振動が伝わってきた。
「お姫様の体重は、リンゴ3個分っ言うじゃない♦️」
そう言って、扉を超えた。
……私の体重、多分平均的だと思うんだけどなぁ。
そんな事を思っていたら、
「それにあの部屋、ちょっと汚いし♡」
と呟くヒソカ。
まぁ、掃除とかして無さそうだし…。全身が埃まみれになるのは嫌だもんな。
「ふーん。あっ、もう大丈夫。ありがと」
扉の外につくと、ヒソカは渋々下ろしてくれた。この扉は自動式のようで、私たちが入った後は勝手に閉まっていった。
「……………жжжж」
「ん?」
閉まっていく扉の向こうで何か聞こえた気がした。私が何にも思わず振り向くと、
「…………あの部屋にいたの、ヒソカだけじゃなかったんだ」
丁度私が落ちてきたところに4人くらいだろうか…人の残骸が散らばっていたのだ。