第5章 三次試験と奇術師
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「…………手出しはしないって言ったよね?」
気づけば目の前にいたアルミはイルミの腕の中。意識はない。さすがの手際。
「今すぐにはしないとは言ったかな♦………️そんな怖い顔するなよ♣」
チクチクと肌をさすイルミの視線。彼の後ろには野次馬たちの死体が転がっていることだろう。ほんと容赦ないなぁ♡
「分かった♦️もうしないよ♠︎その代わり、そのお姫様にちゃんと言い聞かせておきなよ♦️あまり男を誘うなって♡」
「…こいつにそんな気はないよ。で?なんでこいつわざわざお前に近づいてきたわけ?オレのことバレた?」
「いや♦️ただキミに会いたかったんだって♣もちろんギタラクルとしてのキミにね♡お礼が言いたいらしいよ」
「は?」
訳が分からないと首を傾げるイルミ。だが、先程よりも彼の雰囲気は柔くなったように思える。
「こいつ頭が悪い訳じゃないんだけどな。わざわざ危険人物に接触してまですること?」
「アルミにとってはすることだったんじゃないかな♦️随分懐かれたじゃないか♣姿形が変わっても兄妹愛で分かるってやつかい?」
「俺達にはそんなもんないよ。こいつは母親の人形で、オレはただの暗殺者ってだけ。キルは別だけどね。あいつは特別」
「ふ~ん♡」
その割りに、キルアとアルミ、8対2で比重を置いてる感じなんだけど。
「それにしてもよく寝てる♡」
イルミの腕の中のアルミはぐっすりと夢の国に行っている。その顔もまたそそるものがある。
「いいなぁ~♡ボクも可愛い妹欲しいなぁ♡お兄ちゃんって呼んでくれないかなぁ♡」
僕の言葉にため息をつくイルミ。そしてくるりと後ろを向いて歩き始めた。
「どこ行くんだい? これからどうするか話さないの?」
「こいつ邪魔だから置いてくるだけ。それに今まで通りでいいでしょ。オレはオレでやるし」
「くくく…♦️ 行ってらっしゃいお兄ちゃん♡」
今度はこちらを見ずに立ち去るイルミ。さっきのは訂正。キルアとアルミ、6対4ってとこか。ここから遠い所にいた癖に、殺気出した途端一瞬で来るんだもんなぁ。
「殺気出すだけでこれだもんなぁ♣️実際に手を出したらどんな反応を見せてくれるんだろ?くくくく……」
静かな廊下にヒソカの不気味な笑い声が響き渡った。