第4章 二次試験へ
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「やぁ♡」
仲睦まじい姉弟を見ていると、物陰から知り合いのピエロに声をかけられた。
「いきなり電話を切るなんて酷いじゃないか♦️」
「………何の用?」
目線はその姉弟から離すことのないまま、オレは問いかけた。
「やだな♦️もしかして怒ってる?」
「別に。まだ親父たちから何も言われてないし」
「ほんと過保護だよね♦️まぁ、分からなくもないけど♣️」
ヒソカの目線の先にももちろんあの姉弟がいた。
「凄く無防備だよ彼女♡殺気だしているのに警戒されないなんて初めての経験なんだけど♦️」
なんだそんな事かとオレは腕を組んで木にもたれかかった。
「そりゃあそうでしょ。あいつオレら以外の人間に今まで会ったことすらないんだから」
「弟くんはともかくさ、ゾルディックの人間って聞いてたからもっと好戦的な子だと思ってたけど♦なんか意外だったな️」
「アルは母親の人形だからね。ホントは訓練させるのも反対だったみたいだし」
「ふーん♡でも彼女、中々美味しそうな匂いをしてるよね」
「言っとくけど、あいつ殺しはまだないからね」
これからもあるか知らないけど、と付け足した。アルは黒髪の少年の頭を撫でているところだった。キルはそれを見て、少々拗ねたような顔をしている。
「……………………」
その様子を眺めていると、ヒソカが笑いながら口を開いた。
「キミさ、キルアとアルミ選ぶならどっち?」
「はぁ?」
また変なことを言い出したと思った。
「何言ってんの?家族だよ。別にどっちが上ってことないでしょ」
「んー♡じゃあ、質問を変えようか♦️」
何が言いたいのか全くわからない。まぁ、ヒソカが意味不明なのはこれが例外ではない。こいつはいつも何考えているかよく分からないのだ。
「アルミとキルア、助けるならどっち?」
ここでオレは2人から目を逸らして、ヒソカを見た。
「やだな♡もしもの話だよ♦️それにボクはここですぐ殺す気もない」
だって楽しみが減るからねと言葉を付け足すペテン師。それもそうかとオレは再び目線を二人に戻した。
「………キルだね。あいつはゾルディック家にとって重要な存在だ。アルがいなくても母親が泣きわめくだけで別に支障はないし」
「……なるほど♡キミらしい答えだ」
隣で不気味に笑うペテン師。オレは試験が始まるまで2人を見ていた。