第3章 ハンター試験
「た……助けてくれ!!君、早くこれを取るのを手伝って……」
カタカタカタっと男の人の叫びをかき消すかのようにその人は音を立てた。その人が現れた瞬間、私の興味の対象はすっかりこの人となった。
「…それ、どこから音を出しているの?」
私はついそう尋ねた。失礼なことを聞いてしまったかもしれない。しかし、別段気にする様子もなくその人は頭を指さした。
「……頭?頭蓋骨ってこと?何か石でも入ってるのかな」
ふむふむ。脳を物理的に活性化させるのか、それともその音で外敵を追い払うのか。私は目を輝かせた。
「私、アルミっていうの。あなたは?」
もしかしたら言葉は通じないかもしれない。カタカタと音を立てるだけで、この人自身は無反応だ。
「……き、君……何してるんだ。は……はやく……」
「あ!!」
すっかり頭になかった。私は男の人の方を向き、両腕に刺さった棘をどうしようかと模索していると、
「………ん? あれ? 死んじゃった?」
棘が男の人の身体中に刺さり、男の人はピクリともしなくなった。私が後ろを振り返ると、カタカタと音をならし、その人は私を抱き抱えた。
「ねぇ、今のあなたがしたの?」
カタカタカタ。これは多分イエスだろう。なんだ言葉は通じているのか。
「ふぅん。棘は武器なの?」
カタカタカタ。これもイエス。ということはこの人は棘で威嚇行動をするのか。でも、棘が刺さったあの男の人はまるでハリネズミのようで、面白かった。
「あれじゃ、全身棘人間だね。ねぇ、私もしてよ!!」
そうすれば、自分自身が武器なのと同じでしょと言葉を続け、そして私は気づいてしまった。この考えの重大な欠点に。
「あ…。でもそしたら死んじゃうか。あの人も死んじゃってたし」
この案は没か。それに私が穴だらけになったら母様から怒られてしまう。私はガッカリした。結構面白いと思ったんだけど。
カタカタカタカタカタ。私を抱えているこの人は、首を左右に揺らした。落ち込む私を慰めてくれているのか。
「そうだね!! まだ望みはあるよね!! そうだ!! 全身に鉄板を仕込むっていうのはどうかな?そしたら死なないんじゃない?」
カタカタカタ。果たして私達の会話は成り立っているのか、それは不明だったが、私は楽しい時は過ごすことは出来た。