第3章 ハンター試験
「おいっ!!本当にこっちで合ってるのか!」
「うん。こっちこっち」
私は彼らを引き連れて霧の中をグングン進んだ。
「アルミ。疑う気は無いのだが、その根拠はなんだ?」
私の後ろを付いてきていたクラピカが聞く。私はどう説明しようか考え、足元を指さした。
「足跡?」
「そっ。私、こういうのだけは昔から得意なの。森の動物とか観察するの好きでね。よく追いかけっこしてたなぁ」
「なるほど。ゴンみたいな野性的な能力ということだな」
クラピカは笑い、レオリオも頷いた。
「じゃあ、ちゃんと付いてきてね。速度上げるよ」
「ちょっ!? 待て!!」
私は木の幹を飛び越えながら、ごめんねと心の中で謝った。嘘ではないが、ホントのことは言っていない。
簡単な話、能力を使っただけだ。私の能力は便利なもので、壊れた靴を修繕したり、探し物をしたりするのなんか簡単。だけど、あまり人には見せるなと言われているので、キルたち兄弟にも言っていない。この場合、実質私が転んだせいで2人ははぐれた訳だし……それに多分だけど周りに気を取られていた私のスピードに合わせてくれていた様にも思えるからしょうがないかなって思った。
「あ、なんか野原に出た…ん?」
開けた所に出た。相変わらず霧が濃いのは変わらないけど、新しい場所にはドキドキする。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」
相変わらずの悲鳴は絶え間なく聞こえる。対峙せず逃げ回っている事を考えると、それほど凄い動物なのだろう。私は思わず笑みがこぼれた。
「な、なんだなんだ??」
「ヒソカだ!!ヒソカが殺戮を………ゴフ」
名も知らぬ誰かは喉を切り裂かれて絶命した。私は隣にいたクラピカに問いかけた。
「ヒソカってどういう動物なの?」
クラピカは目線を前にやったまま静かに首を振った。
「………野性動物よりタチが悪い。前回のハンター試験で試験官を半殺しにして失格になっている人物だそうだ」
「くそっ!!」
……なんだ。珍しい動物かと思ったのに。私は内心ガッカリして、2人とともに前を向いた。あちらにヒソカという人物がいるのか。