第10章 天空闘技場
「お前は、もう少し周りに気を張るべきだよ。こうも易々と付けられちゃ、命が何個あっても足りない」
今度は、イル兄の説教が始まった。なんだか修行してた頃を思い出す。
「それに、あまり他人を信用するもんじゃないよ。お前は家族の言うことだけ聞いてればいいんだから」
イル兄、家族の話になると長いんだよな。私は分かったと頷き、
「私に何か話があるんじゃないの?」
と尋ねた。すると、そうそうとイル兄は私に近づいた。
「キルもお前も家を出る許可を出したって親父から聞いてさ。キルはいいけど、お前の場合ただで外を出させるのも勿体ないなって思ったんだ。だってほら、お前にはアレがあるからさ」
なるほど。つまりは、アレのために何か手がかりを探せと言いたいのか。
「分かった。それで、何をすればいいの?」
「ヒソカが知ってる」
………ヒソカ?
「どうやらあいつ、お前のこと結構気に入っちゃったみたいでさ。あいつなりに探し回ってくれたみたいで。ほんとあいつの執念にはいつも恐れ入るよ」
私はふと家を訪ねてきたヒソカを思い出した。なるほどあれはそういう意味だったのか。
「ねぇ、 いつどこでヒソカの番号知ったの?」
ギクッ!! 私は顔が引き攣りそうになった。まさか家にヒソカが侵入してきたとはいえないし………あ!!
「クラピカから聞いたの」
「……………あぁ、そう」
何か心当たりがあったようで、あっさりと次の話題に移ったイル兄。私はほっとして、彼の話に耳を傾けた。