第10章 天空闘技場
イル兄とそれから結構な時間話した。イル兄がおしゃべりだったとは意外だったな。まぁ、私も久々にイル兄と話をしたから楽しかったけど。でも、ヒソカに連絡するのは後回しになった。何故なら……………
「アルミー!!!!」
電波のいい所に移動しようとした時、私を探していたゴンと会ったからだ。
「大丈夫?ごめんね、置いていっちゃって」
私の手を掴んでしゅんっとするゴンに、先に行っててと言えるだろうか?いや、言えない。
「ううん。大丈夫だよ。はぐれた私も悪いんだし。キルは?」
「190階で待ってる。行こっ!!」
「うん!!」
エレベーターから降りると、キルが待ち構えていた。
「あっ!!姉貴!! どこいってたんだよ!!!!探したんだぜ!!!!」
心配させんなよと頬を膨らませるキル。私はごめんと言い、お詫びにキルとゴンにお菓子をあげた。しかし、キルはまだ不機嫌そうだ。
「聞いてくれよ!!あのウイングってやつ何にも教えてくれないんだぜ!!」
ゴンも食べながら何度も頷いた。
「あームカつく!なぁ、さっさと200階行こーぜ」
ゴンにこっそり聞いてみると、かるーく言ってのけたウイングさんに相当イラついているらしい。
私がいない間に一悶着あったようだ。
「ねぇ、そういえばアルミ。このお金、どうしたの?」
ふと、気づいたようにゴンは私に尋ねた。ボリボリとお菓子を食べながら。おっと、そういえば無一文だからここにいるんだったなと思い出した。
「あ!!そう言えばそうだ!! どうやって手に入れたんだよ姉貴!!!!まさか………」
ハッと何かを疑うような顔をするキル。いい事は考えてなさそうな顔だな。
「これ、貰ったの」
と言った。嘘はついていない。これはイル兄の差し入れなのだ。
「はぁ!? 誰からだよ!!!!」
イル兄とは言えないので、
「親切な人」
とだけ言っておいた。