第9章 予期せぬ訪問者
「ゴン!!あと、クラピカ!!リオレオ!!」
「ついでか?」
「レオリオ!!」
キルアの発言にゴン以外の三人はブーイング。私はそれを苦笑しながら、キルの後ろから現れた。
「アルミ!!」
まず一番初めに反応したのはゴンで、キルと一緒に私を抱きしめた。
「ゴン、久しぶり。来てくれてありがとう」
私はゴンの頭を撫で、抱き締め返した。二人を見ると、そんな私たちを微笑ましそうに見ていた。
「あー!!お前はいつまでそうしてんだよ!!
早速だけど出発しよーぜ。ここにいるとおふくろがうるせーからさ。
あ、ゴトー。いいか、おふくろに何を言われてもついてくんなよ!」
キルは照れ隠しに、ゴンを思いっきり押し、ゴトーに突っかかった。
「承知しました。いってらっしゃいませ」
ゴトーは慣れたもので、一礼をする。
「ゴトーさん、キルアもアルミもいなくなったら寂しくなるね」
ゴンはゴトーに話しかけた。
「いいえ…私共執事は、雇用主に対して特別な感情は持ち合わせておりませんので」
「うそつき!」
嘘八百なゴトーにべーっと舌を出すゴン。そして、私の手を掴んだ。
「アルミ!!行こう!!」
「うん…あ、ちょっと待って」
私はそう言うと、くるりと振り返り、きょとんとしているゴトーに抱きついた。
「ア、アルミ様!?」
いつもは冷静なゴトーが珍しく慌てている。私は笑い、彼に抱きつく腕をさらに強めた。
「留守の間、家をよろしくね。行ってきます」
そして笑いかけると、同じことをほかの執事にもし、ゴンの元へ戻った。
「ゴンくん」
ふと、ゴトーがゴンを呼び止めた。振り向くと、ゴトーはコインをはじいていた。
パシッ!
「さぁ、どっちです?」
「左手でしょ?」
即答するゴン。なるほどアレかと私は笑った。ゴトーがいつもやる手だ。
ゴトーが手を開くと、コインは右手にあった。
「えっ!?」
ゴンは驚きの声を上げる。私はそれを見て、呆れた顔でゴトーを見た。
「そう、トリックです。世の中正しいことばかりではありません。お気をつけて」
ゴトーなりの助言ってことね。なんだかんだでゴトーもキルアが心配でならないんだよねぇ。
「キルア様とアルミ様を、よろしくお願いいたします」
こうして、私は人生でもうあると思ってなかった、屋敷を外から見ることができたのだった。