第3章 ハンター試験
「霧で道を見失ってしまいそうだな」
「あぁ。前にピッタリとくっついていかねぇとな。迷ったら終わりだ」
クラピカとレオリオが注意深く周りを見渡すのだが、私はと言うと
「うわー!! レオリオ!!クラピカ!!見てあれ!!」
森の中の珍しい動植物に興奮しきっていた。
「お前な、緊張感なさすぎだろ」
レオリオが呆れた顔をするが、少し興味を示したようで私が指さすほうをちらりと見て、そしてあんぐりと口を開けて叫んだ。
「んじゃありゃぁぁぁ!!」
まだかろうじて見える木々。その枝に止まっているのはもちろんただの鳥ではない。なんと人の顔を持った鳥なのだ。しかもその口はパクパクと動いている。
「タスケテー。タタタタススケケケーテ」
「「喋ったぁ!!」」
私とレオリオの声がかぶった。感情は全く異なるものであるのだが。
「あれは人面鳥だな。私が知っているものとは少々小ぶりだが」
クラピカが説明してくれる。博識なんだ。これからはクラピカに聞こう。
「き、気持ちわりぃ。こっちをジロジロ見てやがる」
「私たちを食べるつもりなのかな?」
彼らはまさに獲物を見定める目をしているし。レオリオは私の言葉に心底嫌そうな顔をした。
「そうだな。しかし、見ての通り奴らに我々を攻撃する武器はない。だからおそらく、おこぼれを狙っているのだろうな」
ふむふむ。ということはまだ他にも動物はいそうだ。もっとこう角とか牙とか凄そうなのが。
「げっ!? まじかよ」
レオリオがだんだん深くなっていく霧の中をぞっとした様子で見た時、前方からゴンの声が聞こえた。
「レオリオー、クラピカー、アルミー。 キルアが危ないから前に来いってー」
「できたらやってるっちゅーの!!」
レオリオはため息をついた。私は彼の背中を軽く叩く。もう既にレオリオの心の体力はゼロだ。