第9章 予期せぬ訪問者
「ゴンたちが来てるって」
私はキルにそう伝えた。多分もう知ってるだろうけど。
「……………知ってる。さっき母親が来た」
キルはそう答えるだけで何も言わない。母様がねぇ…。きっとあの母様のことだ。あまりいいことを言っていないだろう。
「合わせる顔がないの?」
私はそう尋ねると、キルは図星というように顔を背けた。……わかりやすいなぁ。
「今はイル兄はいないし、父様に今度こそ話してみたら?」
「馬鹿かお前!! そんなの言われるまでも無いじゃねぇか!!」
ミル兄が私の言葉に笑った。キルは何も言わないが、ミル兄と同じことを思っているのだろう。私は彼の頭を撫でた。
「そんなの言ってみなきゃ分かんないでしょ。キル、やる前に無理だっていうのキルの悪い癖だよ」
基本何でもできるキルだからこその短所だ。
「…………分かったよ」
キルは渋々と言った様子だったが、私は満足気に笑った。