第9章 予期せぬ訪問者
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「…………ぐーぐー……」
俺はあまりの退屈さに、仕置部屋にいながらも熟睡していた。あぁ、暇だ暇だと思っていたら、ついウトウトしてしまった。
「……おい!!キル!!」
乱暴に開くドアに俺は目を覚ました。また、性懲りもなくブタくんが来たようだ。いい加減、その拷問術は俺にはきかないってこと学べばいいのに。
「………十分だぞ」
しかし、意外にもブタくんは何もせず隅の床に座り込んだ。後ろにいた執事は頷き、澄んだ声でありがとうと言った。俺は目を凝らしてその執事を見た。
「…………姉貴!?!?」
パッと見、分からなかったが、どう見てもアル姉だった。
「どうしたんだよそれ?」
今のアル姉の格好は、どう見ても執事のそれだったし、それになんと言ってもその黒い髪には驚いた。母親が聞いたら卒倒するぜ。
「久しぶりキル。元気そうでよかった。
これ?洗濯されたものをちょっと失敬して、この髪はミル兄に借りたの。ふふっ、誰にもバレなかった」
満足そうに笑う姉貴。
「俺が連れてきてやったんだよ。お前にどうしても会いたいって言うもんだからな」
ブタくんが横からそう言った。しかし、この強欲なブタくんがアル姉のためにわざわざ動くか?そう思ってたら、アル姉がウインクをした。
「………本当、何したんだよ」
俺は苦笑いをした。