第9章 予期せぬ訪問者
それから、ゴトーは二、三言言うと、受話器を置いた。それと同時に
「申し訳ございません、アルミ様。急ぎの用が出来ましたので、別の者に申し付けください」
と振り返らずに言った。やはりバレていたかと私は笑いながら、物陰から出た。
「もう用は済んだから大丈夫」
わたしがそう言うと、ゴトーはため息をついた。
「……彼らとは、家出の最中に出会われたのですか?」
急ぎのようという割には、そんなことを聞くゴトー。私は頷いた。
「ゴン、いい子でしょ?」
「…………口の聞き方に少々疑問を覚えますがね」
そっぽを向くゴトーに私は笑った。ゴトーは昔から、キルアに甘い。そんなキルアと付き合いの長い彼だからこそ、嬉しいのだろう。
「ほんと、ゴトーはキルアに甘いね」
歩き出すゴトーに私はそう声をかけた。すると、
「そんなことはありません。私はアルミ様にも甘いと自覚がありますから」
と微笑んだ。