第8章 帰宅と秘密
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「私を始末する時に頼みやすくするため…とか?」
僕は笑いがこみ上げそうになった。本当にキミは面白いなぁ。あのイルミが僕に殺させるわけないじゃないか。キミを殺すのは自分だと思ってるくらい、キミのこと溺愛してるよ多分。
「なるほど♡」
僕に言ったのは、キミから目を逸らさせるためだろう。呪いを持った人間は、死ぬとたまに殺した人間にそれが移ることがある。それをイルミは言いたかったんだろうが……。
だけどさ、イルミ。キミが思っている以上に僕、アルミのこと気に入っちゃったみたいなんだよね。
「それで?何の用でここに来たの?」
「ん? キミに会いに♡ あわよくば攫いに♡」
「私を? ヒソカって暇なんだね」
アルミは冗談だと思っているらしく、くすくすと笑った。イルミに似ていると言ったが、撤回しなければならないなと思った。イルミはこんな顔では笑わない。
「ボクって結構、一途なんだ♡」
「ヒソカって変わってるよ。こんな不良品をわざわざ気にするなんて」
自嘲のような笑いを見せ、アルミは水を再び飲んだ。
「それで、本当は何の用で来たの?」
アルミは足を伸ばしながら、笑った。筋肉のついていない細い足が、あらわになる。僕はベッドに腰掛け、口を開いた。