第3章 ハンター試験
キルアはゴンと一緒に先へといき、私はクラピカたちの元に残った。
「行かなくてよかったのか?」
クラピカが私にそう尋ねる。
「うん。せっかく友達ができたのだし、キルの邪魔しちゃ悪いから」
「ふっ。いいお姉さんなんだな」
「ふふっ。そうだといいな。私には家族しかないからね」
私がそう言うとレオリオは首を傾げたので、私は掻い摘んで話した。すると、
「まじかよ!! どんだけ金持ちなんだよ!!」
レオリオは驚愕した様子だった。クラピカも顔には出さないが、驚いている。
「…そんなに変かな?」
「いやいやそりゃそうだろ!?生まれて1度も敷地の外に出たことがないって普通ありえねぇよ!!」
「確かにそういう風習の種族がいるとは聞いていたが……まさか本当だったとはな」
種族って…大袈裟な。
「でもなんか納得したよ。アルミはその辺りの人とは違う雰囲気があるからな」
雰囲気?立ち振る舞いとかかな?まぁ、母様たちから叩き込まれてきたからね。
「自分じゃ何が違うのかよく分からないけど」
そしてクラピカと話すこと1時間くらい。ふとレオリオが静かなことに気づき、後ろを振り返った。
「レオリオ? ちょっとペース速かったかな??」
レオリオは私たちより後ろの方にいた。私はレオリオの方へと向かった。
「レオリオ?大丈夫?」
「おまっ……なん…で………平……な…だよ」
息を荒らげながら、レオリオは言う。えっと、『お前なんで平気なんだよ』かな。まぁ、私も一応ゾルディック家の人間だからね。最低限のトレーニングも修行もつけてもらってる。なので、体力には自信があるのだ。
「というより、キルといっしょにいれば嫌でも体力はつくんだよね」
暇が死ぬほど嫌いなキルの相手は、中々執事たちでも務まらない。それを小さい頃からこなしてきた私に体力がつかない方がおかしい。
「く……そ…た………」
今のは『くそったれ』かな。意味はよく分からないけど。レオリオの足は止まった。
「レオリオ?」
「お嬢ちゃん。ハンター試験に脱落者はつきものだ。いちいちきにしては……」
「脱落してたまるかぁぁぁぁぁ!!」
レオリオが突然私を追い抜いて、すごいスピードで走り出した。私は彼が置いたスーツケースを持つと、後を追いかけた。
「自分より下の女に負けてたまるか!!」
後に彼はそう語ったそうだ。