第3章 ハンター試験
そんなこんなで、始まった一次試験。歩を進めていくと、段々とペースが上がるのに気づき、これが試験かとワクワクが止まらなかった。
「へぇー!! てっきり筆記だと思ってた」
私は興奮して、キルに話しかけた。キルは最近買ってもらったスケボーで遊んでいる。どうやら最初の試験はキルにとって、退屈であるようだ。
「案外楽勝かもな」
気分はすっかり退屈モード。まぁ、日頃の訓練に比べれば長距離走なんて、キルにとっては屁の河童。暇潰しにもならないか。
「あー!!ガキ!!そりゃ反則だろ!!」
キルと受験者たちを追い抜いていると、黒いスーツをきた人に怒鳴られた。どうやらキルのスケボーに対してもの言いたいらしい。
「なんで?」
しかしキルは相変わらずの態度で男性に聞き返す。男性は腹を立てた様子で、
「これは持久力のテストだ!!」
とキルを睨んだ。私はそうなの?という目線をキルに送ったが、キルが答える前に近くにいた男の子が教えてくれた。
「違うよ!試験官はただついてこいって言っただけだもん」
キルと同い年くらいか。黒髪でくりくりした目の男の子。男性の知りあいのようで、
「ゴン!お前どっちの味方だ!」
と言って責め立てるが、ゴンという男の子は素知らぬ風。素直そうな見た目そのままだ。キルと気が合いそうだ。
「お前年いくつ?」
そう思っていたら、キルからゴンに声をかけていた。ゴンはニカッと笑って、
「もうすぐ12!君たちは?」
と聞く。
「同じ。こっちは俺の姉貴で三つ上」
私の紹介までしてくれるキル。私は頭を下げた。
「俺も走ろっと」
キルは足でスケボーを蹴りあげ、片手でキャッチ。確かスケボーのCMで出ていた男の人もそんな動作していたなぁ。
「おーかっこいい!」
ゴンは目を輝かせ、拍手をした。
「君名前は?」
「キルア。そっちは?」
キルに初めてのお友達ができた。私は邪魔をしないように、後ろで見守って置くことにした。
「ゴン。ゴン=フリークス。後ろのお姉さんは?」
しかしその前にゴンが私に聞いたので、私も名乗った。
「私、アルミ。キルをよろしくねゴン」
「うん!! もちろんだよ!! アルミもよろしくね!!」
私は微笑んで、彼の頭をそっと撫でた。そしてあとの2人、クラピカとレオリオにもよろしくと笑いかけ、ペースを彼らに合わせた。