第3章 ハンター試験
「君たちルーキーだね。その年齢でよくここまで辿り着いたものだ」
中に入って取り敢えず端っこの方にいると、突然知らない男の人に話掛けられた。彼はニコニコと私たちに近付いてきた。
「おっさんだれ?なんで俺らがルーキーってわかんの?」
キルが首を傾げて聞いた。
「怪しいもんじゃないよ。俺はトンパ。自慢じゃないがもうハンター試験35回受けてるから、見ない顔はすぐ分かるんだ」
と彼、トンパは言う。何が驚いたかって、それは彼の服だ。あまり見た目を気にしない方らしく、結構年季が入っている。母様が見たら、音を荒らげて怒りそうだ。私は少し笑った。
「おっ!! いいね!! やっぱり女の子は笑顔が一番だよ!」
と私にウィンクをするトンパ。初対面でも気軽に話すあたり、彼のだてに35年もハンター試験を受けていないということか。慣れた様子で彼は言葉を続けた。
「これ。お近づきのしるしだ」
と2つの何かを手渡してきた。それはじゅーすと書いてある小さな缶だった。
「……ありがとう??」
じゅーすとやらが何なのかよく分からなかったが、親切にもくれるというので無下にもできない。私は取り敢えずそれを受け取り、逆さにしてみたりした。………どういう使い方をするのかイマイチよく分からない。
「ささっ!! ぐぐーっと!!」
トンパが何かを持って傾けるような仕草をするが、私には何のことやら伝わらない。困ったな…。そう思いキルを見ると、ジトっとした目をトンパに向けていた。
「さんきゅー。ちょうどのど渇いてたんだよね」
そう言って缶を開けてごくごく飲むキル。なるほど。これは飲み物なのか。私はホッとしてキルと同じ様にして缶を開けようとしたのだが、
「姉貴のもちょうだい」
とひょいっと私の手から缶を奪い、ゴクゴクと飲み干してしまうキル。
「あ……もうキル。行儀悪いよ!!……ん?あれ?」
ふとトンパの顔が青ざめていることに気づいた。目線の先はキルがいる。………体調でも悪くなったのかな?