第7章 最終試験と私の運命
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目を見開くレオリオ。俺は顔を背け、会場から出ていこうとした。
「っ!!!」
しかし、会場の扉は開かれ、そこには姉貴が慌てた様子でこちらを見ていた。俺は途端に自分が何をしたのか気づいた。
……姉貴に…見られた。自分が人を殺すところを。
「……あ……あね……」
「やぁ、アル。久しぶり」
いつの間にか俺の後ろに来ていたイルミが最初に声をかけた。
「………イル兄」
姉貴は少し驚いた様子だったが、表情は変えなかった。
「丁度よかった。キルを連れて家に帰ってくれない? 俺これから仕事なんだよね。もちろん寄り道はなしだ」
「ひ…1人で帰れる! 姉貴は……」
姉貴はまだ行きたいところにも連れていけてない。まだ……せめて姉貴が行きたいところだけでも……。
「分かった」
しかし、姉貴は淡々と了解した。
「あ……姉貴……」
「アルミ!?」
レオリオは叫ぶが、姉貴は真っ直ぐこちらへ来た。
「……なんで……」
俺は呟いた。あんなに外に行きたがってたのに…。最後になるかもしれない外出が……俺の…我儘だけで終わってしまった。
「こ、困ります!! アルミ様は合格者。最後までいて頂かないと………」
「キル」
急に体が上に持ち上がった。俺は姉貴に抱き上げられたのだ。
「な……にして!!」
気恥しさ、申し訳なさ、悲しさ、悔しさ…様々な感情が渦巻き、俺は姉貴の顔を思わず見た。………いつもと変わらない優しい笑みを浮かべていた。
「私、キルと一緒に家を出たんだからここにいられたんだよ。キルが途中で帰るなら、私も帰る」
「ぐ……は…」
「は!?」
突然、わけがわからないことが起きた。死んだ筈の……俺が確かに心臓を貫いたはずの死体が、息を吹き返したのだ。