第7章 最終試験と私の運命
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その後、姉貴はゴンにつきっきりで戻ってこないまま、第三、第四、第五、第六試合は順調に進んで行われていった。その間、俺はゴンのことと姉貴のことがグルグルと回っていた。
「第7試合、キルア対ギタラクル!」
「おっしゃ!!キルア、頑張ってこいよ!!!!」
「いわれなくても分かってるって」
楽な試合。そう思っていた。そして、試合が始まったとたん、
「久しぶりだね、キル」
針男は、顔の針を抜きはじめ、顔が段々歪に変わっていく。嫌な予感がし、それは確信へと変わった。
針男は、黒い髪に痩せ型、そして何も映していない黒い目……一番上の兄…イルミとなった。
「……兄貴…!!」
「や」
顔から血の気が引き、全身が震え出すのが分かった。
「キルアの兄貴……!?」
そんななか、ギタラクル改めてイルミは続けた。
「母さんとミルキを刺して、アルミまで連れていったんだって?」
「…まぁね」
「母さん泣いてたよ」
「そりゃそうだろうな、息子にそんなひでーめにあわされちゃ…」
レオリオがボソッと言うのが聞こえた。……そんなわけねぇじゃん。あの家は、お前が思っているよりも狂ってんだよ。
「感激してた。『あの子が立派に成長してくれてうれしい』ってさ。『姉を攫ってこの家のセキュリティを突破するなんて、まるで王子様みたい』。あの人の考えていることはよくわかんないね」
一言一言話す度、ビリっとした何かをイルミから感じるのがわかった。今すぐここから逃げ出したい……そんな思いを必死で抑え、俺はイルミを睨んだ。