第7章 memories
私にとって親友と呼べるのは
昔も今もクロと研磨だけ。
その2人を恋愛対象として見ることなんて無かった。
クロは私にとって同い年だけどお兄ちゃんみたいなところがあって頼りにしてる。
研磨は年下っていうのもあって実の弟のように思ってる。
だから私はいつも2人以外で仲良くなった人を好きになる。
でも続かなかった。
長くて2ヶ月
短くて3週間
私はずっと好きだったけど、いつも振られてしまう。
だから次に付き合う人は長く続く人がいい。って思ってる。
そして出会ったのが裕太くん。
大人しくて、1人で本を読んでることが多いけど
でもスクールバッグに付けられてた
あるバンドの缶バッジ
そのバンドはマイナーだけど私が好きなバンドで
話しかけてみたら意気投合。
すっごく嬉しかった。
あまり人と話すのが得意じゃないって言ってたけど
私とバンドの話をするときは
笑顔で
楽しそうで
きっとクラスの人は知らないだろうって思う一面を見て
いつの間にか好きになってた。
CDを自分から借りに行ったり
ライブの話をしたり
話せば話すほど好きになってく。
そんなあなたに告白されて
驚いたけど言葉が出ないほど嬉しかったの。
もちろん返事はOKだった。
でも、それは言えなかった。
クロが邪魔をした。
信じられなかった。
でも、怒ることはできなかった。
それ以上にクロが怒ってたから。
なんでか分からなかったの。
どうして彼に対してクロがそんなに怒るのか
だって私をいじめた訳でもないのに。
私は本当に馬鹿だった、
気づかなかった。知らなかった。
いや、もしかしたら知らないふりをしてたのかもしれない。
告白を邪魔された時、
わからないって思ったのは本心だけど
前に、ずっと前に一度だけあった。
勘違いで済ませたことに後悔してる。
きっと、クロは覚えてない。
あの日。