第7章 memories
結局、部活が終わっても椿と会うことは無かった。
いつもなら、研磨と3人で帰んのにな。
喋ることも目を合わせることも無かった。
教室であった椿は無表情だった。
怒ってるわけでもなく、悲しい顔をするわけでもなく
俺と椿は赤の他人だって言われてるような気がした。
幼馴染の絆?っていうようなものは
もしかしたら、もう……
って言っても研磨は普通に話せるみたいで、
ぎこちなさはあるけど…って研磨が言ってたな。
それと一緒に言われた事。
研磨は言うのを迷っていたらしい。
「俺はそんなに弱くねえよ。」
そう言うと話してくれた。
明日は谷原と帰るらしい。
「今日は買い物があるからって言ってた。」
今日のことをわざわざ話してくれたのは
研磨なりのフォローだったんだと思う。
俺たち2人で帰る事なんて少ないから‥
いや、もしかしたら顔に出てたのかもな……
彼女じゃなくても、
これくらい普通に話せねえかなー。
また、幼馴染として隣歩きてえな…。
椿は俺らと一緒じゃなくても
何も思わなかったりすんのかね。
いや、俺らじゃなくて俺。か。
なあ、
椿。
お前は俺の事どう思ってんの?
なんて心ん中で考えてばっかりで
口に出すのは案外難しい。
もし、答えを聞いたら立ち直れないかも知れねえ。
告白の返事を聞くより
何十倍も不安でいっぱいだ。
せめて前みたいに戻れたら、
影で守るから。
決して彼氏なんてかっこいい立場じゃねえけど
悩みでも何でも聞いてやる。
その日の空は俺の心に反して
透き通った夜空だった。
家に帰った後も、
俺は、俺と研磨と椿との3人の思い出を1つ1つ思い出しては
溜息ばかりついていた。