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【HQ】虹色の青春

第7章 memories





研磨が帰った後
俺らは無言だった。




最初に無言を破ったのは俺だった。






「…なんで怒んねえの。」


2人になったらもっと怒鳴られるだろうと思った。
でも椿は無言なままだった。





「…怒ってるよ。」


「いや…そうじゃなくて罵倒したりとかしねえの?」


「……… 。」


「なあ、」


「……ゎかんなぃの」


そう小さく言った椿は震えていた。


「分かんないの!クロが何考えてるかも、なんであんな事したのかも!」



張り詰めた糸が切れたように
ポロポロと泣きながら、





「クロの馬鹿!!!!」





それを最後に言うと
椿は走りだした。


























そっとしておくべきかもしれない。



でも、
ここで放っておいたら男じゃねえだろ。











俺は迷わず
すぐに追いかけた。







もちろんすぐに捕まえた。

バレー部主将の脚力なめんな。








「離して!!」



「断る。」




何度か鞄で殴られたけど

俺が手首を離さないと思い諦めたのか、
今度は不満をぶつけた。



「あんなに相談してたのに!好きだったのに!!なんで邪魔したの!?なんでクロが怒ってんのよ!馬鹿!ふざけんな!裏切り者!!!」






俺は何の言い訳もする気は無かった。



だから、


1つ1つの言葉を心に刻むように
ただ小さく頷きながら聞いていた。



「……… 。」


全ての不満をはき出したからか椿は突然黙り込んだ。






「…馬鹿はお前だろ。」


「は⁉︎なに言って「好きな女を目の前で取られて黙ってられるほど、俺はお人好しじゃないんでね。」


「…… 。」


「それとも…今の意味も分かんないほど鈍感なわけ?」


「冗談でしょ…?」





んなわけねえだろ。
どんだけ長い間この恋拗らせてたと思ってんだよ。
冗談のたった一言で済ませてたまるか。








「取られたくねえんだ。

谷原にも
誰にも。




……椿、









好きだ。」








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