第3章 rainy
お昼休みがもう少しで終わる頃になってようやく女子から解放された。
うれしいけど正直疲れる。
まあ、及川さんはみんなのアイドルだから仕方ないんだけどね☆
でもなー、ずっと笑顔でいるのはやっぱり疲れる。
そんなに話したことない子もいるから
愛想笑いも増えるしね、
あー、次の授業なんだろ、
「及川さん!」
不思議だよね、声だけで、呼ばれただけで嬉しくなる。
愛想笑いじゃない、心から微笑んだ
「なに?椿ちゃん。」
「あ、これね、作ったんだけど‥‥あげる!」
「え!いいの⁉︎及川さん感激!!」
「え、あ、うん。」
「どうしたの?椿ちゃん。」
「え、いや、及川さんのことだから不味そうとか言ってくるのかと思って‥‥。」
「え⁉︎いや!そんなこと言うわけなくない⁉︎どんだけ俺酷いやつに見られてるの⁉︎」
「あ、そうじゃなくて意外だったけど嬉しかったって話!」
「え!いや!ありがとう!!!!椿ちゃん!大事に食べるね!!!」
2人で笑い合う。
ああ、なんて楽しいんだろう。
やっぱり椿ちゃんは凄い。
疲れてても魔法をかけたみたいに一瞬で元気にしてくれる。
しかもこんな美味しいお菓子付きで。
バレンタインとはいえ、やっぱり椿ちゃんにもらえるのは嬉しいな。
でも、きっと椿ちゃんのことだから岩ちゃんとかにもあげてるんだろうなー。
ほんとは嫌だけど
でも、椿ちゃんは俺のものじゃない。
だから、いつか
堂々と椿ちゃんの本命貰いたいなー。
それからの今日の俺はずっと機嫌が良くて疲れることもなかった。
岩ちゃんは少し元気がなかった。
行動は普段通りだけど、どこか元気がない。
そう感じたのは俺だけだったらしい。
岩ちゃんも、椿ちゃんからバレンタインのもらってたよね?
なんでだろう。
あまり気に留めずに俺は帰り支度をした。