第3章 rainy
次の日の朝、学校についてすぐに椿に会った。
及川のやつは相変わらず女子キャーキャー言われながら囲まれてた。
「岩ちゃん!」
「ん?なんだ?」
「はい!コレ!」
そう言って椿が渡して来たのはティラミスだった。
「あ!あのね!生チョコとかにしようと思ってたんだけど、きっといろんな子から貰っただろうから違うのがいいかなって思って‥ 。」
「え、いや、こんなすごいの貰っていいのか?」
「え!いやいや!全然!!むしろ貰ってください。」
そう言って椿は少し恥ずかしそうに笑った。
すごい‥と思ったのは本音だった。
ほとんどの男からすれば
料理とは無縁の生活だから手作りでこれを作れるのがすごいと思うだろう。
それにみんなに貰うって及川じゃねえんだから、そんなに貰った覚えも無い。
でも、毎年のように貰う椿のお菓子は少し楽しみだった。
「あ、あと岩ちゃん!及川さんどこにいる?」
「ああ、あいつなら今廊下の方で後輩の女子に囲まれてたぞ。」
「そっか!じゃあ、もう少ししてからにしようかなー。」
「あいつにも渡すのか?」
「うん!もちろん!」
「そうか‥ 。」
及川にも渡す。
それを聞いて、少しモヤっとした。
その後に食べた
椿からのティラミスは、
少し苦いと感じた。
でも、そう思ったのは一瞬だけで
それ自体はおいしかった。