第3章 rainy
俺と及川と椿は幼なじみじゃない。
だが、元から椿は俺の近所に住んでいて仲はそこそこよかった。
それで、及川は俺と椿が付き合ってると勘違いして、しつこく聞いてきた。そこから俺と及川と椿で3人で話すことが多くなった。
いつしか3人でいることが当たり前になりつつあった。
「なあ、椿。お前。俺たちとばっかりいていいのか?」
「え?なんで?」
「好きなやつとかいねーの?」
「いるわけないじゃん!!!」
「ってなんでクソ川が答えてんだよ。」
「いや、ね?好きなだけならわかるけど椿ちゃんのことなんか好きになる人いないでしょ〜。椿ちゃんより俺の方が可愛いし。」
「え、あ、ちょっと待って。また私置いてかれてる。」
「気持ち悪い。俺の前から失せろ。うんこ野郎。」
「あ!またそんな汚い言葉使って!!及川さん泣いちゃうよ⁉︎」
「知るか。」
「ねえってば。」
はあ‥‥ 。
椿のため息が聞こえた。
でも椿は楽しそうだった。
俺はまだ気づけない。
自分が誰を好きなのか。
誰と一緒にいたいと思うのか。
まだ、
まだ、
気づかない。