第1章 cloudy
クロが私の話を遮って2分くらいかな。
私達は喋らなかった。
私はアイスコーヒーを飲みながら
クロは窓の外を見ながら
でも不思議と気まずいとは思わなかった。
「なあ、椿。」
いつもみたいに喋りかけてくる。
「なに?」
いつもみたいに答える。
「俺さ、お前が好きだ。」
窓の外を向いたままクロは言った。
私はなるべくいつも通りに答えた。
今さら、きゃあきゃあ騒ぐ関係でもないと思うから。
「私も。」
私も窓の外を見てそう言った。
顔が赤くなってることに気づかれたくなくて
何か合図があったわけじゃないけど
私はクロの目を
クロは私の目を見つめた。
「今更、友達としての好きだ。なんて言わせないからね?」
「バーカ。間違っても言わねえよ。」
また見つめて
また笑い出す。
初デートはどこがいいかな?
どこでご飯食べる?
クロの誕生日にはなにを買おうか。
全然ロマンチックじゃない告白。
聞き逃しちゃうかもしれないほど少ない言葉。
高校での距離感が
今も変わらないままで
新しい関係になっていく。
もしかしたら
私たちの青春はまだ終わってないのかもしれない。
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