第1章 cloudy
馬鹿なのは私の方だよ。
ずーっとクロのこと好きだったんだ。
彼女がいるってわかってて
何回も諦めた。
でも諦めるたびに好きになって
何回も何回も惚れちゃって
クロは素敵な人だよ。
クロが笑うだけで嬉しい。
それが
私と一緒にいるときなら、その100万倍嬉しい。
なんで伝わんないかな。
伝えたいのに‥ 。
ピコンッ
ん?私の方?
あ、研磨からだ。
今からクロに会うって連絡したんだっけ。
『椿は誰が好きなの?』
え?
私が戸惑っていると
ピコンッ
『言わなきゃ分かんない。ちゃんとその人に伝えて。』
そうだね。
ありがと。研磨。
今までで伝わらなかったのは
言葉にして伝えなかったからで
もし、言えば断られるかもしれないけど
今、伝えるチャンスができた。
前はうまく掴めなかった
このチャンス。
今日は絶対に逃したくないから。
急な話だけどしっかり聞いてね。
「ねえ、クロ。好きだよ。」
一瞬。
時間が止まったみたいだった。
呼吸すら止めてるみたいで
クロは、
クロはこっちを向かなかった。
なにも言わなかった。
ただただ、窓の外を見てるだけ。
ちゃんと伝えよう。
伝わらないなら呆れられるほど何度でも言ってやる。
「あのね、クロ「なあ、椿。」