第10章 coffee
彼は受験生になった。
でも、まだ部活を続けている。
午後の3時頃
図書館に行くと偶然会った。
私は本を返しに来ただけでだったけど、
先輩は勉強していた。
結構集中していて
声をかけようか迷っていたら
ちょうどひと段落したのか
欠伸をしながら別の参考書を広げようとしていた。
「菅原先輩。お疲れ様です。」
話しかけるなら今しかないと思って
声を掛けると
「ん?おー、お疲れ!」
ニコッと笑ってくれた
「えっと〜……」
「河野です。」
「河野さん!そっか〜名前聞いてなかったもんな〜河野さんは勉強?」
「いや、本返しに来ただけで…」
繰り返し教えた名前を呼んでくれて嬉しかった。
五分話したか分からないくらいだけど
何だかんだ少し話せた。
聞けば、練習終わりに勉強の為図書館に寄ったらしい。
今日本返しに来て良かったと心から思った。
先輩よく来るのかな?
今度は勉強しに来ようかな。
なんて不純な動機。
でも、少しくらいいいよね。
会えるか分からないもの。
あ、飴でも持ち歩こうかな。
勉強で疲れてる先輩にあげられたらいいな。
シミュレーションか妄想か怪しいところだけど
それすらも楽しくて仕方がない。
届かない相手と思いながらも
少しでもチャンスがあればなぁなんて考える。
取り敢えず課題終わらせよう。