第9章 color
「あー!!!!!ちょっと待ってて下さい!!!!」
え?
いま何か言いかけたよね?
私の告白は?
え?
返事聞きたかったんだけど、
え?どこ行くの?灰羽くん!
2、3分くらいして戻ってきた彼の後ろには
隠しきれないくらいの幸せがあった。
彼は私の目の前に来て
片膝をつき
その姿はまるで王子様みたいだった。
「先輩、大学に行っても俺だけを見てください。
他の人の所になんて行かないでください。
俺が卒業したらすぐにでも迎えに行きます。
先輩が好きです。
もしよければ、これを受け取ってください。」
そう言って
彼の後ろから出て来たのは色とりどりの綺麗な花束だった。
赤やピンク、黄色やオレンジ、白や薄紫の綺麗な花たち。
とても大きな花束だったから、
彼の大きな背中から溢れ出て見えてたの。
こんな素敵なサプライズ、受け取らない訳がない。
嬉しさのあまり頷くことしか出来ない私が
そっと花束を受け取ると
その花たちが潰れないような優しさでそっと抱きしめてくれた。
「ありがとう。こんな私を好きになってくれて、ありがとう。」
私はこの綺麗な花に埋もれてしまうようなモノクロの存在だと思ってた。
そんな私がこんなに幸せでいいのだろうか。
「先輩、綺麗ですよ。先輩は俺の自慢の彼女です!」
また彼が私を抱きしめる。
幸せだ。
今までで一番。
本当に貴方を好きになって良かった。
大切なひとが私を好きになってくれて
その人が、自分の事が嫌いで仕方がなかった私を綺麗だと言ってくれる。自慢だ、と言ってくれる。
幸せすぎていつかバチが当たるかもしれない。
でも、君がいるなら少しぐらいのバチが当たってもいいかもしれない。
私たちは今日、別れの日に結ばれた。